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 遍路の日 2003年徒歩


■2003/01/03(木曜)曇り・風強く寒い
□第1番曹源寺(3.4キロ)  第2番極楽寺(0.4キロ)
 第3番普門寺(1.8キロ)  第4番延命寺(3.2キロ)
 第6番常福寺(3.4キロ)  第7番極楽寺(0.9キロ)
 第8番伝宗院(0.7キロ)  JR緒川駅

□計画もなく遍路に出たいと思い、朝から準備をして出発しました
1番寺で納経帳・歩き地図を買ったりとバタバタとしていて、お参りもすませて
1番を出かけるときには1時を過ぎていましたね。納経時間は5時までですから
飛ばせるだけ飛ばしていきたいと思います。

曹源寺は私の寺でもありまして、住職さんが「今日はどうなされたんですか、格好
も決めて」と言われ、「歩いて回りたいと思いまして」と答えると、「それはそれは」と
話されていました。しかし、どうも忙しそうでしたから話を簡単に切り上げて、赤い
緞子の納経帳と歩き地図を買いました。緞子タイプは2200円なんですが、すでに
納経もしてありますから2300円になります。歩き地図が1100円でした。

白い納経帳は表面が厚紙製で1300円なんですが、前回の三河四国では
これしかないと言われ、白い物を購入しましたが、やっぱり綺麗な方がいいやと
思い、緞子にしたのです。でも、ほとんどの方は白い方を買い求めるみたいです

そうそう、お母さんが曹源寺の輪袈裟を持っているので、私も欲しいと言ったの
ですが、あれは何年も前に作った物で今はないと言われちゃいました。
仕方がないので四国でしていた輪袈裟をしていきます。ずいぶんとよれよれに
なっていますが、「四国八十八」と書いてありますからいいでしょう。

2番の極楽寺に向かう途中は色々なことを考えていました。
本四国に対して、まだ知多四国の遍路記を書いている人も少ないし、我が地元の
ことですから、一生懸命何かを残さないといけないのかなぁと思って歩き遍路の
詳細を残そうと道順を記録しながら歩いていました。
今更ながら三河四国も、こうすればよかったかなぁと考え込んだりします

暑い時期の遍路は好きですが、これだけ寒いと体の動きも鈍くなっていると
感じたり、風が顔をかすめると「おぉ」って感じで首がすくんでしまいます
歩いていれば温かくなるとも聞きますが、そんなのは嘘だと思えるほど寒かった

知多四国にしては長めの距離を歩き、2番に着く頃にはホッペが赤くなっている
ことが感じられます。どうも林檎病になっている感じもするなぁ(笑)
歩くと寒いけど、風が全然ない家の間を通るときは体が火照っていることが
わかります。

そうだ、このことを書かなくてはいけないのですが、私の防寒対策は、あまり
着膨れてプクプクになるのが嫌で一見薄着を目指しました。
下着の上から寒さに強い防寒下着を上下着て(ダイアナ妃も着ていたと言う物)
上はトレーナーにウインドブレーカーです。下は遍路ズボンでした。
風さえしのげれば寒さは我慢できると思っていますから、なかなかのチョイス
でした。しかし、手と足はどうにもなりませんねぇ(笑)
手が寒さのためにシワシワになっていくのがわかるし、足は下駄で行くと決めて
いましたから、またまた素足なんです。やはりおかしな人間に見られていると
思いました。途中出会った方に「気合い入っているなぁ」と驚かれたのか、誉め
られたのか、あきれられたのかわからない言葉もかけていただきました。

2番の極楽寺では、納経所にお婆さんとお母さんらしい方が2人みえて
「今日は寒いねぇ。お茶でも飲んで行きませんか?」と誘っていただいたのですが
まだまだ始まったばかりで、先を急いでいますと断ってしまいました。
熱いお茶飲みたかったなぁと思う気持ちと、グズグズしている暇はないと心の中で
葛藤していました。

知多四国は距離がないぶんどこまで行けるのかも見当がつきません。1日に
回れる寺数が多いと言うことは距離が稼げない。心の中では四国遍路に比べたら
笑っちゃう様な距離だから、ガンガン行けるぞと思っちゃいました。
でも、数をこなせばいいってものでもないとは思いますが・・・・

しかし、この持っている地図「歩き巡拝知多四国めぐり」って本は何なんだぁ
デフォルトで書いてあるから距離感がさっぱりつかめないし、わかりやすそうで
わかりにくいって、このことだろうと思います。もちろん私の書いたテキスト地図も
相当にわかりにくい物だと思いますが、両方を持って挑めば鬼に金棒って感じで
非常にわかりやすいと思うな(笑)
今度は国土地理院の地図でも利用しながら地図作ってみようかなと、ふと思った
だけです。

なんでも四国と比べたらいけないと思うが、四国では地図を見なくても遍路シール
を探して歩けば、ほとんど迷子にはならないと思ったけど、ここではこの地図が
なければ、こんな複雑な道を歩けないと思います。

そんなこんなとしていて、地図をよく見ると「徒歩用巡拝モデルコース」なるものが
書いてあります。全部で11回にわけて交通機関を利用しながら来たり帰ったり
するプランみたいです。だから、日々の始まりも駅などから始まって終わる感じ
なのです。なんか所用時間と言い、回った寺数と言い、まさしくモデルプラン通り
の行動をしている自分に気づきました。
今夜は宿にとも思いましたが、モデルプランにそって初日は家に帰ろうと
思いました。と言うことは11日間もかかると言うことなのかなぁ(^_^;)
総距離200キロ弱なんだろう。気持ちの中では5〜6日で結願したいと思ったけど
少し無理があるのかなぁ、、と考えたりします

そろそろ納経時間も終わりだし、緒川駅前にうどん屋さんがあって、こんな正月
からやっているのはすごいと思い、ついついうどんを食べに店内に入ってしまい
ました。なんと出されたお茶が美味しいんだろう。お母さんが気を使ってくれて
熱々のお茶をなみなみとでかい湯飲みでくれました。死んでもいないけど生き返り
ます。

電車の中では必死に手足をこすり合わせて動くようにしていました(笑)
あぁぁめっちゃ寒かった

しかし、今日は誰とも会わなかったなぁ。。車での遍路さんもいなかったし
ましてや歩いている人なんているわけもありませんでした。やはり正月は四国に
行くべきなのか

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■2003/01/04(金曜)曇り・夕方より雨寒い
□JR緒川駅(1.6キロ)    第9番明徳寺(1.4キロ)
 第10番観音寺(2.0キロ) 第11番安徳寺(1.8キロ)
 第12番福住寺(3.0キロ) 第13番安楽寺(0.5キロ)
 第14番興昌寺(1.4キロ) 第15番洞雲院(2.3キロ)
 第17番観音寺(0.5キロ) 第16番平泉寺(3.0)
 番2番海蔵寺(3.0キロ)  第54番海潮院(0.8キロ)
 番1番東光寺(1.0キロ)  ファーストホテル

□家から出てきましたから駅に着いた頃には8時を回っていました
でも、今晩はどこかに泊まってくると家を出てきましたから、今日はお宿を探さ
なくてはいけません。しかし、距離感と言うか、どこまで行けるのかと見当も
つかないと考えるのも嫌になりそうですから、今日も行けるだけ行こうと思います
まぁ、遍路宿みたいなものを考えずにビジネスにすれば、宿を心配することも
ないと思います。

9番さんでは、ここからと言う気持ちもありましたから、「今日もよろしくお願い
します」と大師堂でお願いして納経所に向かいました。すると朱印が入った箱が
机の上に置いてあります。これって、どうやら自分で押して行けということなん
でしょう???か。横にピンポンもありましたが、目の前に置いてあるのに
「納経お願いします」ってこともないでしょう。
なら、って感じで自分で押してきました。隣にある竹筒にお金を納めるんだろうと
ほとんど勘でやっていましたが、これで正解だと思います(笑)

巡礼も今はシーズンオフなのかもしれませんね。このようなお寺が2〜3カ所ある
とは聞いていましたが、これがそうなのかと思いました。
今までずっと納経を見ていたのですが、初めて印す場合は3つがいっぺんに
押せる印を使用して、2回目からはどれか一つになる感じです。
巡礼者に託されているお寺では、印の上にわかりやすく1回目とか2回目と
書かれていました。

本日のメインイベントなんでしょうか?9番から10番までの道のりは好きです
車で行くのなら366号線をまっすぐと行くだけなのに、バリバリの遍路道みたいで
右に曲がって、左に曲がってと何回曲がればいいのでしょうって感じですし
車での走行は不可能ではないかと思うほど道が細くなっています。地元の方は
軽トラで走り抜けられるのでしょうが、こんなところを車で突っ込んできたら
なんともならなくなるでしょうね。

古い道しるべも数多く残されているし、昔からの旧家、民家の中を歩き抜ける
感じになります。距離にしてたかだか1.4キロ程度の話ですが、車で来ても
ここだけは歩かれることをお勧めしたいと思います。

第54番海潮院と番外1番東光寺の件ですが、なぜこの54番だけはここにある
のだろうと不思議な存在なんです。歩き地図の場合は12番の後に54番に行く
ことになっていますが、そうすると13番へは打戻の様な感じにもなるし、どうす
るのだろうと思っていたら、11番さんあたりで詳しく聞いて下さいと他の札所で
言われて、11番さんで聞けば「車の場合は、ここから54番さんの方に行くよう
すすめますが、歩きはわかりませんねぇ・・まぁ18番さんくらいまで行ってから
聞いてもいいでしょう」と言われます。

18番さんから54番さんに行って打ち戻っても10キロもない距離なんです
頭の中には秋に歩いた四国と比べているから、こんな距離なんともないじゃんと
思っています。あぁぁぁぁ恐ろしい思考回路になっています(笑)
四国に行ってなければこんなことも考えなかったでしょうね。
どうも、11番さんか12番さんを打って、54番、番外と打ち戻ってくる道が
正解のような気がしてきました。

別に11番さんのお母さんを恨んでいるわけではありませんが(^_^;)、車でめぐる
巡礼に対して、歩く場合は圧倒的に情報量が少なすぎると思います。
お母さんにも「知らない」と最初に言われましたから、これが私の遍路道として
納得しようと思います。12番さんからの打戻と18番さんからの打戻を比べたら
五十歩百歩の世界なんでしょうかねぇ

13番さんの大師堂前にある弘法さん?遍路像?って不気味だなぁと思います
(こんなこと書いてもいいのかなぁ)作りが>リアル系だし、新聞紙がたくさん貼って
あって、何がなんだかわかりません。きっと何か意味があると思いますが、
なんとなく耳なし芳一の物語が頭をかすめました。ただ、何気なく見上げる天井絵
があっさりと書かれてすばらしいと思います。これって必見だと思います。

16番さんを越えたあたりからポツポツと雨が降り出してきました
いつものでかい菅傘をしていると多少の雨なんかは全然わかりませんね。
車がワイパーを使いだしたから、あっ雨が降ってきたんだと気づくほどです(笑)
うぅぅ、、天気予報は見ないし、知多ぐらいと近所感覚がありましたから、今回は
さんや袋だけしか持って来なくてリュックはなしなんです。着替えゼロでしょう
雨具もゼロでしょう(^_^;) まじで大よわりなんです
しかし、多少の雨は平気だとがんばっていたのですが、こんなのはがんばると
言う問題でもないでしょう。54番さんあたりになるとどしゃ降りになってきて
菅傘からポタポタと水滴が垂れ落ちるのにはまいりました

空で唱えられたって経本は持って唱えるもの、経本を見ながら唱えていると
頭が前に傾きますから菅笠から滴がポタポタと落ちてくるとまずいと思いました
住職さんに「大丈夫か」と聞かれますが、「これも修行ですか?」と受け答えする
私はおバカさんだと思います。
ただ、次のお寺までは1キロもないから、今日は終わりにしようと思っていますから
こんなことを言ってたのでしょうね。

本日の最後番外1番さんに行く頃には薄暗くなってくるし、雨はジャンジャン降って
くるしでえらいめにあいました。
「どこか近くで泊まるところはないですか」と聞けば、「銭湯があるよ銭湯」
「銭湯ですか?」「そう、銭湯なんだけどビジネスホテルもやっているから泊まれる
よ」と教えていただけました。電話で宿泊確認までしてもらってありがたいことです

そうそう、この番外1番東光寺はすごい寺だと思います。私のデジカメはフラッシュ
が壊れているのでピンボケでしか撮影できませんでしたが、等身大の弘法さん像
やたくさんの僧侶の方の像が安置されています。それも何十体とです。
色彩もされ、それは見事な像だなぁと感心してみていました。
それよりも手と足がかじかんできましたから、銭湯には猛ダッシュで走って
いきました

よく見たらズボンの後ろが泥だらけだったなぁ。着替えも持っていないから
明日もこれで歩くのかと思うと気が重くなりました。

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■2003/01/05(土曜)晴れ・風強く寒い
□ファーストホテル(4.0キロ) 第18番光照寺(1.7キロ)
 第19番光照院(0.8キロ) 第20番龍台院(2.0キロ)
 第21番常楽寺(3.1キロ) 第22番大日寺(0.5キロ)
 第23番蓮花院(1.5キロ) 第24番徳正寺(2.3キロ)
 第25番円観寺(3.0キロ) 番3番葦航寺(2.2キロ)
 番4番影現寺(1.4キロ)  第26番弥勒寺(1.0キロ)
 名鉄河和駅

□知多霊場の場合、冬季は朝7時からの納経で、夏場なんかは6時から行って
くれます。これって本当にポイント高いと思います。
でも、今は6時でも暗いからなぁ。。やはり冬場の遍路は時間の制約がありす
ぎだと思います。朝から飛ばすことができないからなぁと思ったりもします。

今日のメインは21番さんでしょうか。。心ひかれる物があり長く遊んでいました
まずは堂内を眺めていると金々キラキラって感じで光っているし、天井絵が
すごいと感心していました。

そして、この絵なんですが、「四国八十八所遍路記念」と書かれてありますが、
四国を遍路したのか知多四国を遍路したのかわかりませんが、何か思いが
あって寄進したんだろうなとは思いました。寄進された方々の名前も書かれて
ありましたが、先達さんを含めて9名の方が遍路されたんだろうなと思います。
昭和37年頃のことを考えると電車は走っていましたが、車で遍路と言うことも
ないでしょうから、きっと歩きなんでしょうね。
しかも遍路道も相当にすごいことになっていたから苦労されたのかもしれません。
そんな思いをすると、この様な絵を寄進するのでしょうか?
今流に考えるのなら歩きは少し大変だと思うし、楽しかったからウェブページでも
作って残している様なものでしょうか
感覚的にはわかる気もすると考えながら見ていました
弘法さんも生鯖もらったらどうしたんだろう

あと、山門のすばらしさもよかったですねぇ。像もまだ新しい感じがして、何よりも
鳥除けネットなんでしょうか?そのような物も貼ってないし、しっかりと鑑賞する
ことができました。なんと絵になるのでしょう。。これも必見です

札所巡りをしていると必ず中には特徴的なお寺があるもので、23番などはこれに
あたると思いました。四国で言う色は金泉寺の山門で、形は津照寺を思い出し、
インパクトは香園寺を思い出します(って、意味通じているかなぁ(笑))
本堂は階段を上がって下さいと書かれ、鉄筋コンクリート造りですからねぇ

今日のルートは色々な発見も多いと思います。お正月休みをしているみたいで
見られませんでしたが、19番さんの手前には「酒の文化館」もありますし、
24番の手前には泉万醸造やカクトウ醸造などの醤油屋さんがあるし、越えて
いくと「南蔵」と言う豆味噌屋さんも直売されているしで醸造文化が漂うエリアと
なっています。名古屋の味とも直結している感じなんです

24番を越えて線路付近に近づくと、初めての遍路矢印シールがあります。
四国では本当にお世話になりましたが、ここで見つけられるとはどういうこと
なんでしょう?ひょっとして1枚もらってきたのかなぁと考えたりもしました(笑)

こんな話も書いておかなくてはいけないと思いますが、26番さんって個人的には
すごく好きになりそうなお寺なんです。少し手前であるおじいさんと出会いましたが
その方は家前の掃除をしていらして、私が「こんにちは」と言うと、ほうきを両手に
持って頭を下げながら「よく、お参り下さいました」と言われるのです。
私は簡単に挨拶をしていたのが何か非常に申し訳なく思い、つられ、遅れて
頭を下げていました。

そして大師堂に行けば、「五円付きの鈴貝」が賽銭箱の前で販売されていました
私の勝手な思いかもしれませんが、「宝印代にします」と書かれていて1つ百円で
販売されていれば、1つの売り上げで1つのお寺に行けるのかと思いますし、
こんなのお婆ちゃん好きだろうなぁと買って帰りたくもなりました。
あさりに糊つけて布貼って鈴付けてと苦労して作っているんだろうなと思うと
本当に根気がいることだと思います。

先ほどの挨拶された方や手作りで販売され宝印代にする方などとお寺が地域に
とけ込んでいるなと感じます。
先日出会ったお婆さんもそうでしたが、大師堂のまわりを掃除しておられました
「どこから来たのか」「歩いて来たのか」と色々と質問もされましたが、「私はどこ
にも行くことができないので、せめてここの掃除だけでもしっかりやろうと思って
いる。子供たちはやめろと言うがやめられないわな」と話されていました
「ほれほれ、そこにも私の名前があるだろ」と指さす先には奉納五千円の張り紙
がありました。
こんな感じで「我が寺」と接している地元の方が多く存在します。

そして、この26番のお寺さんは見事に手入れがされていると思いました。
意地悪く端っこの方に草が生えていないかと見ていましたが全然ありません(笑)
私は何見ているんだろう・・
これが感動みたいなものを生み出すのかなと思います。
それに今回の遍路もここで終了する気持ちもあったのかもしれません
この次来られるのはいつになるやらです

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